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金額ミスの大きさ

もう20年近く前のことだけれども、コンサート会場で物販のアルバイトをしたことがある。
ロックバンドのコンサートで、客の8割は10代から20代の女の子だった。
当時は私も彼女たちと同年代だったわけだが、そのパワーには圧倒された。
群がる。
開場と同時に一直線に物販コーナーに群がって来る。
そして早口に「あれとそれとこれと……あとそこのやつも」と注文し、こちらが品物を全部まとめて、いくらいくらですと言おうとすると、「あ、やっぱそれはやめてこっちにする」などと若いパワーを爆発させるが、お客様は神様なので、こちらはハイハイと言う通りにするのみである。
また、「さっき買ったマグカップ、席に置いてトイレに行って帰って来たらなくなってたんですけど」などと訴えて来る子もいた。
そんなこと言われても。
開演してしまえば暇になって、コンサートを見られるかと思っていたがそんな甘いものではなく、終演後の販売に備えていろいろな仕事が待ち構えていた。
コンサートの2時間や3時間などあっと言う間である。
とは言え、交代で見に行っていいよと言ってもらえて、ほんの少しだけ見られたが。
終演後の怒濤の販売が終了し、後片付けと売り上げの計算をした。
売り上げ金は……合わなかった。
たしか900円ほどだったと思うが、多かったのだ。
私たちバイト女子は「多くてラッキーじゃん」などと言いつつ、主任に売り上げ金の報告をした。
最初に主任が言った言葉は「バカヤロウ!」だった。
子供たちがなけなしの小遣い出して買ってるんだぞ、それをヘラヘラ笑いながら多かったって言うのはどういう了見だ、と主任は怒ったのだ。
考えてみれば、900円ってある意味大金だ。
この時の時給がいくらだったかは忘れてしまったが、20年前のことだ、900円はいっていなかったはず。
そう考えれば、多くてラッキーなどと思うことは以ての外だったのに、自分が損したわけではないからと軽く考えてしまった。
恥ずかしい過去である。

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